10周年コメント:ケガニ5

クリスマスですね。みなさま、慌ただしい年末の前にひといき入れてくださいませ。

さて、誰も読んでないかもしれないけどコメント更新。バンド結成後のしんどい時期についてです。

 

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初ライブの部内発表会を経て、練習音源を録音し、あちこちのライブハウスに持って行った。すぐに連絡を下さったのは、(それから長らくお世話になることになる)二条のライブハウスnanoだった。初ライブは3組中のひとつめだったが、内容は緊張でほとんど覚えていない。あんまり良くなかったんだと思うけれど、そのあと店長のmoguraさんがゆっくり話を聞いてくれたのが嬉しかった。何をしていきたいのか、どういう音を出したいのかを丁寧に掘り出してもらった覚えがある。

 

そのあと、モリカワさんというギターの先輩をバンドに誘った。自分で曲を書く人で、ギターソロのかっこよさが抜群だったからだ。数ヶ月練習し、何度かライブもした。でも僕らのレベルが低すぎたのだろう、彼の演奏をうまく活かしきれず、モリカワさんは辞めてしまった。その頃はバンドの雰囲気も良くなかった。今から考えるとこの経験はかなりショックだった。楽器が上手い人と一緒に演奏すると、良くも悪くも、バンド全体のレベルと向き合うことになる。かならずしも楽器の上手い人と一緒にやることが全体の良さにつながるわけではないということ。下手であることが自分たちの実現したいことの足を引っ張るなら、上手くなる必要があること。闇雲に練習するよりも、どういう音楽をしたいかを共有する方が大事であること。そういう当たり前のことを思い知らされた経験だった。

 

軽音部内でもこの時期の居場所のなさは、すさまじいものがあった。誰からも評価されず、ほとんど誰とも趣味が合わなかった。ジャズの人がロックをやってる、と言われたこともあって、どちらも大好きだった僕はとてもつらい思いをした。悔しくて、ライブ後にアンケートを取ったり、いろんな人に意見や批判を聞いて回った。その中で参考になったものもたくさんあるけど、自分たちの信じたことをやるべきだと思った。弾く前に鳴っている音に耳を傾けること。

 

さて、こうして3人に戻ってからは、間違いなくバンドは前より結束したし、手前みそだけど、すこしは演奏も良くなっていたと思う。メンバーの顔もいきいきしていったし、それはとても嬉しいことだった。nanoをはじめ、VOXhall、ネガポジなどに何度となく出て、だんだんと自分たちが何をしたいかがわかってきた。最初からブッキングのライブに出ない(大概チケットノルマがあるから)という人もいるけど、僕はあんまりおすすめしない。ノルマというリスクを負うことにはなるけれど、初めて会うバンドとライブをすると、否応無く、いろんな音楽や人間に揉まれて刺激を受けたり、かえって自分たちのやりたいことを確信したりできる、その方がバンドにとって大きいからだ。ともかく、これが井の中の蛙たちが一歩外に出た瞬間だったのかもしれない。